プログラミング言語C++の進化と忍耐
「C++プログラミング言語の歴史と特徴」連載第4回目の今回も、前回に引き続き次の公開論文を精読していきます。
第1回連載資料論文
本日は、「2 The Design and Evolution of C++」節の第1段落の意味を考えます。この段落では、次のようなことが述べられています。
・C++はBjarne Stroustrup氏により設計され、実装された。
・C++はSimulaの「organizational and design」長所とCのシステムプログラミング機能を統合したものである。
・"C with Classes"と呼ばれた最初のC++は1980年に初めて使用された。
・誕生したばかりのC++は、システムプログラミング機能と「data abstraction」機能をサポートしていた。
・オブジェクト指向プログラミング機能が追加されたのは1983年であり、この機能はその後徐々にC++コミュニティに浸透していった。
・C++が初めて製品として売り出されたのは1985年である。
・「generic programming」機能は1985年から1989年の間に追加された。
ご覧のように、3箇所は英語のままになっています。皆さんは、英語表現を眺め、自分なりのイメージを作り上げておいてください。そのイメージとBjarne Stroustrup氏の真意が一致するかどうかは、連載回が進めば、はっきりしていきます。3箇所の英文表現は、C++だけではなく、JavaやC#などの新しい言語を理解するための鍵をも握っています。筆者は、軽々に邦訳することを避けたいと思います。
この第1段落には、1983年、1985年、1985年から1989年などの具体的な数字が記述されていますが、1994年に出版された書籍「The Design and Evolution of C++」(D&E)のデータと多少異なっています。ただ、ここでは、数値上の細かな相違点を問題にするのではなく、"プログラミング言語というのは、一朝一夕に完成するものではなく、時代のニーズを受け入れながら進化するものである"ということを認識しておきたいと思います。特に、C++がソフトウェア業界に受け入れられ、C++コミュニティという、一種の社会が形成されると、いろいろな意見が出されるようになります。出される意見の中には、自社の利益を一方的に主張するようなものもあったはずです。このような時の流れの中では、Bjarne Stroustrup氏は、C++設計・実装者であるばかりではなく、C++コミュニティの一員かつ指導者、という立場も引き受けることになります。
Stroustrup氏は、自分が設計したC++にたいへんな愛情を持っていますから、"理不尽な意見"や"基本的な設計思想を否定するような意見"に対してかなり神経質になっていたと思います。著書「D&E」には、意見を述べた個人名とその所属会社名なども紹介されています。Bjarne Stroustrup氏は、コミュニティからの意見を自分なりに理解し、必要に応じて自分の意見を述べています。皆さん、これはすごいことだと思いませんか?コミュニティには、コンパイラライターをはじめとする、高度な技術力を備えた現役開発者が多数含まれています。時には次の時代の幕を開くために妥協も必要なはずですから、相当の忍耐力が要求されたと想像されます。
本日は以上で終了しますが、Microsoft社は最近、C/C++標準化委員会に対して次のような提案を行っていることをお知らせしておきます。
Microsoftの提案
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本日は2008-12-04です。