Herb Sutter氏のこの論文を紹介する第10回目の今回は次の段落を取り上げます。まずは原文と訳文(要点訳)をご覧ください。
TANSTAAFL: Moore’s Law and the Next Generation(s)
“There ain’t no such thing as a free lunch.” ?R. A. Heinlein, The Moon Is a Harsh Mistress
Does this mean Moore’s Law is over? Interestingly, the answer in general seems to be no. Of course, like all exponential progressions, Moore’s Law must end someday, but it does not seem to be in danger for a few more years yet. Despite the wall that chip engineers have hit in juicing up raw clock cycles, transistor counts continue to explode and it seems CPUs will continue to follow Moore’s Law-like throughput gains for some years to come.
The key difference, which is the heart of this article, is that the performance gains are going to be accomplished in fundamentally different ways for at least the next couple of processor generations. And most current applications will no longer benefit from the free ride without significant redesign.
For the near-term future, meaning for the next few years, the performance gains in new chips will be fueled by three main approaches, only one of which is the same as in the past. The near-term future performance growth drivers are:
hyperthreading
multicore
cache
この段落は次のような意味を持っています。
ムーアの法則と次世代プロセッサ
すでに触れたように、無料の昼飯にありつける時代は終わった。これは、ムーアの法則がその有効性を失ったことを意味するのだろうか。面白いことに、一般的な答えは、失ってはいない、というものである。すべての幾何級数的な進歩と同じように、ムーアの法則はいずれ有効性を失う。しかし、後数年は過去の法則になりさがる危険性はないようである。チップ設計者たちはクロックサイクル向上の壁にぶち当たってはいるが、集積されるトランジスタ数は今後も増え続け、CPUもムーアの法則の下で進化を続けるはずである。
ところが、ここで注意してほしいことがある。パフォーマンスの向上は、少なくとも、今後の数CPU世代に関して言えば、従来の方法とは根本的に異なる方法で達成されることである。本稿の焦点はこの注意点の解説に置かれている。現在利用されているほとんどのアプリケーションは、再設計される必要がある。再設計しない限り、新たなCPUの性能アップの恩恵に与れないのである。無料の昼飯はもう出ないのである。
今後2、3年の間、CPUの設計主眼は、次の3点に置かれることになるだろう。変わらないのはキャッシュだけである。
ハイパースレッディング
マルチコア
キャッシュ
すでに触れたように、筆者は、この本の出版の関係者です。書内では、次の2点が強調されているはずです。
・マルチスレッド化は可能なら避けるべきである
・マルチスレッド化した場合には、マルチプロセッサー環境でテストすべきである
Sutter氏の論点は、これを覆すものです。マルチスレッド化しないと、パフォーマンスは上がらない、といっているわけです(マルチプロセッサーとマルチコアはハード的にはまったく異なるものですが、ソフトウェア開発者のアプリ動作評価ポイントはほとんど同じといわれています。実際はいろいろな問題が出てくるでしょうね。楽しみです!)。この後の段落で触れられますが、32ビット環境から64ビット環境に衣替えしても、パフォーマンスはそれほど改善されないといわれます。また、シングルコアCPU搭載環境でハイパースレッド化してもパフォーマンス改善は20%から30%程度といわれています。IntelとMicrosoftのマルチコア普及キャンペーンが待ち遠しい限りです。
なお、表題の「TANSTAAFL」などに興味ある方は、Googleなどで検索してみてください。よき時代に入りましたね。マルチコアが一般化すれば、検索スピードも改善されることになるでしょう。皆さん、これからデータ量は増えますよ!利益を出すには、マルチコアと高速化技術でしょう。儲けたいですねぇ、皆さん!
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